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一枚の金属薄板からパンチ、ダイス、しわ押えを用いて中空容器を製造する深絞り加工法は、プレス加工の代表的なものの一つでありますが、金型の一方にゴムや液体などの柔軟物質を用い、その対向圧を薄板の深絞り加工に利用する方法は一つの有力な方法として実用化されてきました。
この成形法は、従来の金型法に比べて、単に金型の制作費が安価になるだけでなく、板厚減少の抑制、成形限界の大幅向上、工程の短縮、成形品の寸法制度の向上などの優れた特徴を備えています。
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しかし、現在までのところ、この方法による底付き容器の深絞り変形特性が明らかにされているのは、円、楕円、四角筒などの単純な凸形状のものに限られており、それらの範疇に入らない異形容器に関する公表された加工データはほとんどありません。
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当社は、雌型を油圧方式で受けることにより、上記の複雑形状の容器の加工を可能にしたばかりでなく、従来の金型法では、2.2程度であった限界絞り比を2.8以上に向上させることに成功しました。
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本成形法の基本的装置は、複動油圧プレスのインナスライドにパンチ、アウタスライドにしわ押え板、ベッド上に液圧制御装置を備えたダイスをかねた液圧室を取り付け、その中に液体(油)を満たした構造になっています。
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更に、独自の金型設計技術によって、液圧室に発生する対向液圧を金型内に設けた通路を通してフランジ外周部に導き、ダイスと素板間に液体潤滑状態を作りだす方法(この成形法を周液圧深絞り法と呼びます)によって摩擦軽減効果を生じさせます。
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この他に円錐台形状のようなボディしわが発生しやすい形状においてもボディしわの抑制と材料の平面ひずみ(板厚不変)の防止等のノウハウ(最適ブランク形状の決定を含めて)を確立しました。その結果、従来の金型法に比べ成形品精度の優れた深い容器を一工程で作ることができます。
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